法政LIFE -人生に学ぶ喜びを- 法政LIFE -人生に学ぶ喜びを-

Search

日本国内在住でも、海外在住でも、通信教育で自分に合った勉強方法が必ずあると思います。
※この記事は在学生当時の取材に基づいた内容となっています。

卒業生

ヘイワード 順 さん 文学部 日本文学科

1年次入学 2017年卒業

日本国外在住 /日本語教師(中国・広州市)

Profile
中国広東省・広州市で日本語教師をされています。海外で日本語教師を続けるにあたり文学や言語について幅広く学ぶため、中国で通信教育部の学びをスタートされました。
「なんとかなるさー」でやってみよう! ~法政大学通信教育部を選んだきっかけ~

 中国広州にて日本語教師をしています。妻、母、女、日本語教師、通信教育部の大学生、フリーライターの6足のわらじを履きながら日々を過ごしています。

 学生としてスクーリングを受講すると教師の仕事に還元できる多くのことが得られるので、それらをうまく取り入れ、かつ学生の視点を常に忘れない教師を目指しています。

 2002年に主人の仕事で滞在した中国無錫の学校の「初めての日本人」ということだけで(!)経験ゼロにもかかわらず日本語を教えることになってしまいました。その後、本格的に日本語教師を続けていくために日本語教師養成講座なども考えましたが、いろいろと調べているうちに法政大学の通信教育部日本文学科を見つけました。もともと読書好きの私にとって、文学も言語学も学べるのは願ってもないこと。日本語教師にまとを絞った勉強よりも、文学や言語について基本的なことから専門的なことまで、幅広く、より深く勉強ができるほうが自分にとって良いのではないかと思い2008年冬に願書を出しました。

 とはいえ願書提出前にはだいぶ悩みました。当時は中国上海に住んでいたので単修や文献探しに苦労するのではないか、本当に続けていけるのだろうかと不安もありました。実際、通信教育部の方にお聞きしたところ、海外在住で本科生最短の4年間で卒業はかなり難しいのではないかということでしたが、まずはやってみないことには分かりません。私のモットー「なんとかなるさー」でやってみよう! と試行錯誤の8年目。時間はかかっていても、年に1~2回の日本一時帰国時にまとめて行う文献探し、文献集めに苦労をしても、なんとかなっているようで今に至っています。

学習のスタートと、スクーリングのお勧め科目  ~学習について①~

 なによりも興味があるのは言語に関することです。言葉の歴史、使われ方、変化の様子、言葉に対する考え方、どこを取っても新鮮で、やみつきになってしまいました。若い頃は「日本語は母国語」というだけであまり深く考えたことがなかったのですが、国際結婚による複数言語生活、第三国での生活、日本語を教えるという仕事と、言葉についていろいろと考えるようになったところに通信教育部での勉強が始まりました。教養課程から始め、専門課程へと勉強が進むにつれて、自分にとって身近なこと、つまり自身の生活がどう勉強につながっているのかがたくさん見出せるようになってきたと思います。卒論のテーマも言葉と生活の関係を考えていくことに決めました。

 科目では、夏期スクーリングで受講した「日本文芸研究特講・近代」(山内洋先生)がお勧めです。この講義はゼミ形式です。6人前後でグループを作り、ある作品についてディスカッションをし、最終日前日にみんなで発表を行いました。スクーリングは短期間なので、発表の準備は授業時間内だけでは終わりません。そのために朝は早くから、お昼休みや夜まで(!)みんなで集まっては頭を悩ませたり、休憩がてらのおしゃべりで笑ったりしていました。そして発表中の緊張感と発表が終わった瞬間の達成感は何ものにも代えがたい経験です。苦しみと楽しみと喜びが同時に味わえ、さらには友達までできてしまうというとてもお得な(?)講義です。

 同じく夏のスクーリングで受講した「日本文芸特講・近世」(浅沼博先生)も面白いです。こちらはみんなで「連句」を作っていきます。1人1句は必ず採用されるので、早く採用されるようにと、とにかく必死です。早く採用されればほっとして、気持ちが楽になって楽しく作ることができますからね。ちなみに私は2回目の講義では挙句の直前までなかなか採用されず、かなり苦しみました(笑)。

 この2つの講義に共通する一番の嬉しいことは「友達ができる」ことだと思います。通信教育は「一人で地道に勉強するもの」というイメージがありますが、同じことを一緒に勉強している友達ほど力強い支えは他になかなか見つからないのではないでしょうか。リポートで行き詰った時には相談したり、単修の過去問から「今度はどんな問題が出てくるだろう?」と話したりと、とにかく一人じゃない! と思えることが勉強を進めるエネルギーにもなります。先生方とも距離が近いので、何かあってもすぐに質問やお話しができ、先生方も丁寧に応対してくださるので安心して勉強が進められます。

 また、一般教養自然分野、つまり理系の科目が大の苦手な私は、通信学習で単位を取るなんて絶対に無理! と思ったので、実験コースを選びました。実験なら楽しく学べるだけでなく、他学科の人と知り合えるチャンスにもなります。お互いの学科のことを話しながら和気あいあいと学ぶのはなかなか楽しいことです。

 入学したばかりで心細さや不安を感じている人には、ゼミ形式・実験などのスクーリングが一番のお勧めです!


《通信教育部より:開講科目について》

スクーリングで開講する科目は、各年度によって実施時期・担当教員が異なる場合があります。各年度のスクーリング開講科目は毎年『法政通信』3月号および4月号に掲載され、申込お知らせ月の『法政通信』には、科目の概要を記載した『シラバス』も掲載されます。

『法政通信』2016年4月号 スクーリング開講予定科目一覧(リンク)

『法政通信』2016年6月号 夏期スクーリング本登録科目シラバス(リンク)

通信学習で「勉強」の本当の意味が分かるようになってきたこと ~学習について②~
通信学習で「勉強」の本当の意味が分かるようになってきたこと ~学習について②~

 初めて書いたリポートが合格したときは本当に嬉しかったのですが、今改めてそれを読んでみると赤面してしまいます。というのも、直近のリポートと比べると格段に稚拙だなあと感じるからです。しかし、それは勉強を通じて自分の力が付いた証でもあると思っています。

 しかし、こうなってくると人間は欲張りです。最初は「合格」というだけでもろ手を挙げて喜んでいたのに、だんだんと「評価(A+~D)」が気になってきました。毎回リポートを書き上げたとき、それを国際郵便(EMS)で送るとき、結果が戻ってくるときまで「ああ、今回はどんな評価なんだろう。でも自信があまりないしなぁ。せめてBで戻ってきてくれれば充分かな、でも……」と考えてしまいます。でもこれはとても良いことだと思っています。自分の考えたこと、書いたものの質を考えるようになった証です。

 その質を求めながら勉強を進め、その結果に一喜一憂する。この歳になって初めて、中高生の頃には分からなかった「勉強」の本当の意味が分かるようになってきたこと。これが私の一番の楽しさです。


 (写真:55年館1階 大内兵衛筆 論語レリーフ前にて)

 大内兵衞元総長の筆による論語「学而不思則罔 思而不学則殆」(「論語」巻一、為政第二)のレリーフです。
 55年館解体後は、新しく建設される校舎への移設が検討されています。

周りの人たちがいろいろな形で助け、支えてくれるのは、私にとって大きな励みとなっています ~困ったこと、壁にあたったと感じたことと、その克服について~

 海外在住ということもあり、やはり国内にいる家族の協力が必要です。郵便物や学費等の振込みはどうしても海外からでは難しいからです。私の場合、姉がそれらのことをこなしてくれています。書き上げたリポートだけは海外から国際郵便(EMS)などで送ることになりますが、添削後のリポートは姉に受け取ってもらい、その結果や講評を写真にしてメールで送ってもらっています。

 勉強を進めるにあたっては主人が大きな力になってくれています。勉強中のことについて話をすると、彼なりの考えや知っていることなどを話してくれます。私とは別の視点が得られるので、リポートを書く際のヒントになっています。しかし何よりも大きな力になってくれたのは、通信教育で勉強を始めようかどうか迷っていたときに「勉強したいという気持ちはとても大切なことだ。日常の家事などは心配しなくてもいい。僕だって料理はばっちり作れるんだから、安心して飛び込め!」と後押しをしてくれたことです。実際、我が家のごはんの大半は言葉通り主人が作ってくれています(笑)。

 また、娘は洗濯物の取り込みや食後のお皿洗いなどの小さな家事をいろいろと手伝ってくれます。レポートを書いているときはどうしても集中してしまうので、ついこまごまとした家事に手が回らなくなってしまいがちです。そんなときの彼女は大きな助けになっています。

 他にも、友達とメールでやりとりする文学話や卒論経験談。一時帰国前に「先生、試験(単修)がんばって!」と励ましてくれる教え子たち。自分の周りの人たちがいろいろな形で助け、支えてくれるのは、私にとって大きな励みとなっています。


  先にも挙げましたが海外在住の場合、先行研究・論文等の文献や文学作品が容易に手に入らないことが一番の問題になります。レポートの講評で「青空文庫」使用に関して指摘されたこともあります。そのときは「じゃあ、どうしたらいいんだろう……」とかなり気落ちしてしまいました。けれども、無いからできない、やりようがないではなく、そのときに自分ができる手段で進めるほうがずっと良いのではないかと思います。もちろんなるべくそうならないように、下準備をきちっとしなければならないのですが。

 また、単修やスクーリング受講のために一時帰国することも考えなければなりません。私の場合、中国の学校の夏・冬休みはちょうどスクーリングと同時期なので本当にラッキーですが、会社にお勤めの場合には時間的なやりくりが必要になってきます。もちろんお金についてもそうです。飛行機代、宿泊代、滞在費なども家計から捻出しなければなりません。実際に私も家計の問題で一時帰国ができなかった年もありました。しかしこの問題はどこに住んでいても当然のことです。帰国できなかった悔しさから、今ではささやかなかがらもスクーリング貯金をしています。

 もしもいろいろな理由でちょっと勉強が続けられない、一時帰国ができないという場合は、一度思い切って休学するのも一つの方法だと思います。休学をしてもまた復学することもできますし、友達の中にもその方法を取った人が何人かいます。自分の目標がしっかりしていれば、無理をせず途中休憩もありなのかなと思います。


《通信教育部より:海外への発送物、振込について》

『法政通信』ほか大学からの発送物については、日本国外の登録住所へもお送りすることが可能です。その場合は、教育費の他に海外郵送料として各年度12,000円をお納めいただきます。

また、教育費・スクーリング受講料についても日本国外からの振込は可能ですが、手数料等を差し引いた大学への納入額が必要額となるよう、手続き方法を現地金融機関にご確認のうえ、ご利用ください。

学習方法について(一問一答)

【1日の学習時間や時間帯は決めていますか?また時間の使い方で工夫していることはありますか?】

 勤務先での授業の入り方が不規則なこともあり、1日単位できちっと決まったスケジュールは立てられないのですが、普段から朝は5時半に起きているので、仕事のない日でも同じ時間に起き、朝一番の時間帯を勉強(特にリポートや単位修得試験向けのまとめなどのパソコンを使うもの)に充てています。勉強に必要な本や文献のコピーなどは通勤時間やお昼休みなどのすきま時間を利用しています。また寝る前にも必ず読むという習慣をつけています。

 年間の計画としては、年度末に法政通信に載る次年度のスクーリングの予定をまず確認し、どの科目をどの形態で取るか考えます。そしてリポートと単修で取る科目が決まったら、新年度の課題一覧で設問を確認し、必要と思われる文献をCiNiiやOPACをはじめとする論文データベースで調べ、ウェブ上で公開されている論文ならダウンロード、されていないものなら一時帰国のときに大学図書館で目を通し、コピーをします。コピーの量はかなり増えますが、海外ではまず手に入らないのでつい欲張ってしまいますね。

 仕事と並行して勉強を進めるにはどちらにも支障をきたさないようにしなければなりません。ですから、どうしても時間がかかってしまうことは否めません。「がんばる」と「無理をする」は違うんだと、焦らずに時間をやりくりして、自分に合ったペースで進めていくように心掛けています。


【リポートの書き方、単位修得試験対策で工夫していることはありますか?】

 リポートの執筆から単位修得試験まで、半年くらいを想定して学習をしています。リポートを書く前には必ず「日本文学科のしおり」や論文作成基礎講座Ⅰ、Ⅱの資料に目を通し、書くための基本事項をおさらいします。何度も書いて知っているからと過信せず必ず確認を入れています。

 単位修得試験対策としては、まず直近2年分くらいの過去問に目を通します。そしていくつかの過去問に対する答えを簡単にまとめたりします。例えば「文学概論」では、ある作家のある1作品について論ずるというかなりの「ピンポイント」な問題が出ていたので、まず大まかな近現代の文学の流れをまとめ表として作り、そこに作家個別の欄を加えたり、暇さえあればそれを見て自分の考えを書き込んだりしました。そしてまだ自分が読んだことのない主要作品はできるだけ読んでおこうと「青空文庫」サイトを活用して読むこともしました。

 どういった対策方法が良いのか、私にはまだまだ分かりませんが、自分がそのときにできる方法で(たとえ本としてのテキストが手に入らなくても)自分が納得できるまでやるしかないのだと思います。


《通信教育部より:単位修得試験の過去問題について》

単位修得試験に出席した場合は、当日の問題を持ち帰ることができます。ただし、試験に申し込んでいても受験せずに問題だけ持ち帰ることはできません。ご注意ください。

お住まいの地域や法政大学周辺で、お勧めの場所はありますか?  ~中国・広州~
お住まいの地域や法政大学周辺で、お勧めの場所はありますか?  ~中国・広州~

 中国広州は香港に近い南に位置する都市です。夏は半年近くあると思えるような暑さ(しかも湿度が高い!)が連日続きます。暑さのせいか人々は急いで歩きません。そして、何かあっても急いでしません。日本と比べると何かとゆっくりしています。人の多さでそう見えないのですが、ゆっくり気味です。

 今は経済の急成長後で贅沢品も増え、日本でいうバブルの時期を思わせるような状態です。バブル世代の人にはもしかしたら、ちょっと懐かしいと思えるかもしれません。海外旅行では香港が人気だと思いますが、ちょっと足を延ばして広州にもぜひ来ていただきたいですね。


(写真:広州にて、日本語クラスの教え子との卒業写真)

これから、学びを志す皆さんへ
これから、学びを志す皆さんへ

 2015年度の夏期スクーリングで小秋元先生は「人間は生涯学びつづけることが大切です」とおっしゃっていました。日本国内在住でも、海外在住でも、通信教育で自分に合った勉強方法が必ずあると思います。どれだけ時間がかかっても、どんなに苦しくても没問題(中国語メイウェンティー:問題ない、大丈夫の意味)です。スクーリングでたくさん友達を作り、直にたくさん話をして、いろいろな方法を参考にすれば必ず自分の勉強方法が見つかると思います。通信教育=独学ではないんだということをぜひ実感して欲しいなあと、「大学生活が楽しいから、いつまでも卒業をしないんじゃない?」と主人に笑われている私は、心からそう思っています。


 (写真:ボアソナード・タワー1階 学生ホール「ヘリオス」にて)

 ボアソナード・タワーの1階にある学生ホール「ヘリオス」は、自由に使用できる学生ホールです。

 飲食も可能であり、スクーリングの前後には多数の学生でにぎわっています。

And more! And more! このページの内容・入学に関するお問い合わせはこちら!

学習の仕方、通信教育部での学びについてもっと知りたい方、入学に関するご相談を承っております。

質問する(メールが起動します)

一覧に戻る