法政LIFE -人生に学ぶ喜びを- 法政LIFE -人生に学ぶ喜びを-

Search

通信教育部の学習方法は「じっくり取り組む」タイプの人には
よりよいスタイルなのかも知れません。

佐藤典人名誉教授 文学部 地理学科

Profile
1946年 秋田県大仙市生まれ。
1976年 法政大学大学院人文科学研究科地理学専攻博士課程満期修了
1978年 法政大学文学部地理学科専任講師、その後助教授を経て1986年~2017年3月 文学部地理学科教授。
1992年 博士(文学)の学位取得
1997~1998年 ニュージーランド・オタゴ大学地理学教室客員教授
2003~2007年 法政大学通信教育部長

著書に『自然環境へのいざない』(丘書房/分担執筆)、『地球環境へのアプローチ』(原書房/分担執筆)、『新版・暮らしの地理学』(古今書院/分担執筆)、『異常気象を知りつくす本』(インデックス・コミニケーションズ/監修)、『全世界の河川事典』(丸善/分担執筆)、『大気の理とその諸相』(青山社)など。

約40年の長きにわたり、法政大学文学部地理学科の教壇に立ち、学生を指導してこられました。
法政大学は今も昔もカリキュラムがしっかりしていますから、各々の目標や目的に対応できる良さがあります。

-40年以上にわたり、本学地理学科の教員として通信教育部、学部の通学課程、大学院で学生を指導されました。通信教育部での着任当初と現在で、違いを感じることはありますか?

佐藤:まず前提として、大学で何のために学ぶのか、自分は何をしたいのか、そうした目的意識を持っていないと、折角の時間を無駄にしてしまいます。これは何も通信教育課程に限りません。

 教員としてスタートした頃は1970年代でした。当時、終戦の1945年頃に10代~20代で、勉学をしたくても可能な状況ではなかった人たちが多く在籍していました。そうした人たちが一息できる状況になって、通信教育部に「勉強をしてみたい、学問に取り組んでみたい」という目的で、学問をすることそのものに対して強い意欲を持って入学してくる学生が多かったですね。現在は、大学卒業や地理学科であれば測量士補資格の取得など、当時よりも目的がはっきりしている学生が多いかもしれませんけれど・・・。

 法政大学はかつても今もカリキュラムがしっかりしていますから、それぞれの目標や目的に対応できる良さがあります。「学習環境に応じた形で大学が学びを提供できる」ということは、通学課程と通信課程の両方を有する学部学科に与えられた利点でもあり、それは社会に対してとても重要で、意義のあるアイデンティティを供与しています。

通信教育部には優秀な学生が多く在籍しています。自信をもって取り組んで下さい。

 法政大学では、通信教育部と通学課程の学部で指導内容に対応の差を設けていません。言い換えれば、「就業をしているからと言って妙な配慮をする」ことはしません。双方の課程とも、卒業時には同じ「学士」であり、同質の学問を修めたことを認めるからです。よって評価の尺度も一緒ですから、仕事をしながら学ぶ学生も多い通信教育部生にとっては大変な面もあるかもしれません。

 それでも、リポートの添削や採点、および卒業論文指導を介して非常に優れた内容や光るものを感ずることが多かったですね。また卒業生には仕事をしながら地理学科を卒業して、そのまま大学院に進んで現在では研究者になっていたり、法政大学で教員として科目を受け持っている者もいます。通信課程に地理学科を置いているのは本学のみですが、「全国地理学専攻学生・卒業論文発表大会」という卒業論文の発表大会でも、本学からは通信課程と通学課程両方の発表者を送り込んでおり、それぞれ他大学に負けない優秀な発表をしてくれています。

 通信課程と通学課程の違いは学習手段や学ぶタイミングであって、取り組むのに必要な姿勢や努力も、それによって得られる学問や学びの質も同じです。

 ですから、通信教育部で学んでいる、あるいはこれから学ぶことを目指す皆さんは、自信をもって取り組んでください。

通信教育部は、「じっくり取り組む」タイプの人に向いているかもしれません

 インターネットが普及して以降、「地理学」を学習するのに必要なデータ、文献は以前に比べて入手しやすくなりました。しかし、しっかりと問題の把握・考察を行うためには、文献やデータによる分析と現地での調査や実測を伴うデータ収集の両方を行う必要があります。学問に近道はありません。

 通信教育部でのリポート作成についても同じで、たとえテキストの関係箇所しか読まずに書いたとしても教員はすぐにわかりますから(笑)、テキストを一通りきちんと読んだうえで取り組むことは肝要です。その点でも通信教育部生には1回でのリポート合格、さらに素晴らしい意見や文章を目にすることはしばしばで、学ぶことに対して真摯な姿勢で取り組んでいる学生が多いのだと感じます。優秀だと感じる学生の割合は、ひょっとしたら通学課程よりも通信教育部の方が高いかもしれません。通学課程の学生にも負けずに頑張って欲しいですね(笑)。

 通信教育部の学習方法は、「じっくり取り組む」タイプの人にはより適しているスタイルなのかも知れません。

これから、学びを志す皆さんへ  ~学び続けるために、大切なこと~

 冒頭に入学する目的意識についてお話しましたように、まず「何のために大学を目指すのか?」ということを自分に問いかけてみてください。

 通学課程と通信教育課程は学び方は違っても卒業するときは皆同じ「学士」です。だから、安易な気持ちで臨んではいけません。その学部学科で何を学び、どのようにして学問を修めて学士の資格を得るかということについて、目的意識のある人は、入学後もしっかり学び続けられます。

 よりよく学び続けるためには、グライダー人間ではなくヘリコプターのように「自力飛行」できること、つまり「自分で考え、自分で行動する」ことがキモになります。自分自身で「問題を発見する」こと、とりあえずやってみる中でも「面白さを見つける」ことに努めてください。「ここにはこう書いてあるけど、それはなぜなんだろう? 本当に正しいのだろうか?」という、学術的な探求心ですね。

 そのためには、文章をしっかり読んで要点を掴む、という作業が必要になります。入学してからは、たくさんの文章を読むことになりますが、頭に入れたことを外に向けて表現することも多々あります。それはリポートのように文章であっても、人前で話すプレゼンテーションであっても同様です。特に文学部は卒業論文が必修ですから、要点を掴む、ということはより重要です。

通信教育部は「未来型の大学」

 かつて在外研究でニュージーランドに滞在していましたが、ご存じのとおりニュージーランドは南半球の狭い島国です。ですが英語圏なので、学生は最初の段階から自国の外に出て自己をアピールし、仕事に就くことを視野に入れています。ですから、この国ではどの世代でも学ぶための「目的意識」が強いんですね。

 欧米でも社会に出てから大学で学ぶ、ということは当たり前のことです。近い将来、日本でもそれは普通のこととして認識されるようになると考えています。その点において、法政大学の通信教育部は70年の歴史をふまえつつ、同時に「未来型の大学」であるとも言えます。

 通信教育部は、本当に学びたい人たちのために常に扉を開いてきました。時代や状況によって学問に取り組む、教育へ投資をする、といった環境は異なりますが、この仕組みと教員を積極的に活用して、自信をもって学んでください。すべての人に門戸は開かれていますから・・・。

And more! And more! このページの内容・入学に関するお問い合わせはこちら!

学習の仕方、通信教育部での学びについてもっと知りたい方、入学に関するご相談を承っております。

質問する(メールが起動します)

一覧に戻る