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法政大学通信教育部

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【学術】2014年度全国地理学専攻学生「卒業論文発表大会」で発表

法政大学通信教育部在学生は、学術分野における活動も多く行なっております。今回は、去る3月16日に東京学芸大学にて開催された、各大学で地理学を専攻する学生の学術大会である「2014年度全国地理学専攻学生『卒業論文発表大会』」を取材しました。これは「日本地理教育学会」が主催する、今年度で63回目を数える学術大会で、発表者も合計51名という大規模なものです。

文学部地理学科からは通信課程・通学課程の人文系、自然系それぞれで優秀な卒業論文を作成した学生1名ずつ、計4名が推薦され、当日は各分野の会場に分かれて発表を行いました。
今回は自然系分野にて発表をされた地理学科4年生・井上貴子さんの発表を取材いたしました。

井上さんの発表テーマは「日本におけるブドウ栽培地の気候環境に関する考察」です。国内では100種類前後の品種が栽培されているブドウについては、従来から収量・品質と気候条件との関連性は研究されてはいたものの、井上さんはより詳細に市町村単位の収量と気候要素、品種の耐寒性といった要素との関連性について多くのデータを用いた分析を行い、特に耐寒性が中程度の品種について8月の気温日較差と単位面積当たり収量の相関関係が見られることを明快に説明されました。
以下は、井上さんにお話を伺った内容です。

 

発表中の井上さん。 グラフや統計を用いての説明です

発表中の井上さん。
グラフや統計を用いての説明です

【卒業論文について】

Q:卒業論文にこのテーマを選ばれた理由を教えてください。

A:卒業論文を作成する以前から興味を持っていた科目が、自然地理の気候学でした。そこで卒業論文もこの分野に関するテーマを扱いたいと考えました。ブドウの原産地は温暖で乾燥した地域であり、本来日本のような湿潤な地域には適していません。しかし、現在日本では、北は北海道から南は沖縄県まで広く栽培が行われています。この気候的には不利な日本でブドウ栽培が盛んに行われている要因を気候学的に追究したいと思い、卒業論文のテーマに選びました。

Q:卒業論文はどの学科でも資料収集や分析は大変ですが、今回の論文は細かい範囲のデータを多く扱われていたと思います。お仕事をされながらの資料・データ収集で、工夫したことや苦労したことはありますか?また、準備・執筆にはどのくらい時間をかけられましたか?

A:私が扱ったテーマに関する資料は、幸いにもインターネット上に公開されており仕事の休み時間などを利用してデータを検索し、収集していきました。また、実際に扱うデータのほかに過去の文献を収集しなければなりませんが、法政大学の図書館だけではブドウに関する文献は足らず、国立国会図書館の複写サービスなどを利用しました。
卒業論文の準備・執筆にかけた時間ですが、まずテーマの選定にかなりの時間を要しました。データを扱って具体的な計算や分析に入るまでに半年以上を要したと思います。それ以前にリポート作成やスクーリングの授業などで、卒論のテーマとなりえる事象はないかといつも頭の片隅で考えていたように思います。諸先輩方からもよく助言を頂きましたが、卒業論文でもっとも苦労したことは作業の時間をつくることよりも、テーマを探し決定することだと身をもって実感しました。

Q:発表の中では、今後の課題についても挙げられていらっしゃいました。今後、研究は継続されますか?

A:続けていきたいと考えています。進級をするわけではないのであくまで個人的な研究になりますが、卒業論文作成を通じて学んだ学術的手法を生かしていきたいと思います。

 

出席した教員や他大学生からの質問にも、丁寧に回答されています

出席した教員や他大学生からの質問にも、丁寧に回答されています

【学習全般について】

Q:別分野の学校をご卒業された後、本学地理学科へ3年次編入されました。地理学科を選んだ理由を教えてください。

A:地理学科は、法政大学のホームページでも紹介されているように自然地理の分野で自然環境のメカニズムを探求し、人文地理の分野でその自然環境の中で人がどのように社会を形成し分布しているかを探求しており、理系学科とは異なる視点で人と自然環境の関係を考えることができる学科だと思います。そのような地理学科で学ぶことで自分にも新たな視点を養うことができるのではないかと思い、地理学科への入学を決めました。卒業する今、入学前とは確かに異なる視点で社会や自然環境を見ることができ、自分にとって大きな財産になったと実感しています。

Q:井上さんは、学位授与式にて、通信教育部の卒業生総代を務められました。「現地研究」や市ヶ谷キャンパスでのスクーリングが欠かせない科目もある中、学習全般において時間の作り方、継続方法で工夫されたことはありますか?

A:学習時間の作り方ですが、通勤時の電車内でテキストや参考文献を読み、休日はリポートの作成にあてました。通信教育では論述式のリポートの提出が必須です。少ない時間の中で、自分がどのくらいの期間で1つのリポートを作成することができるのかを見定めて、それをもとに1年間にどのくらい提出できるかを計画しました。この計画を具体的な科目で立てていくことで継続して単位修得試験にも受験でき、あきらめずに学習を進めていくことができたと思っています。

Q:在学生の皆さん、これからの入学を検討されている皆さんにメッセージをお願いいたします。

A:在学生の皆さんには、自分のペースを保って学習を進めてほしいと思います。私自身リポートの添削で厳しい指摘を頂きめげそうになりましたが、その分単位修得試験に合格した時の喜びは格別のものでした。どうかあきらめずに一歩ずつ進んで行って頂きたいと思います。

入学を検討されている皆さんには、地理学はすそ野がとても広く様々な分野と結びついている魅力的な学問です。学習を進めていく中で私たちの暮らしの中にこんなに身近に地理学が関わっていたのかとたくさんの発見がありました。ぜひ、地理学科で学んでみてほしいと思います。

 

当日は最終発表者でした。 お疲れ様でした

当日は最終発表者だった井上さん。
お疲れ様でした

また、卒業論文の指導教員である本学地理学科・佐藤典人教授からも下記のコメントを頂戴しました。

「井上貴子さんはなかなかの頑張り屋さんで、昼の通学課程に開講されている学部の気候学ゼミにも仕事の許す範囲で顔を出していました。本学では通信課程と通学課程の双方に地理学科が設置されていますが、これはわが国では本学が唯一です。通信課程の学生は学習にかける時間を捻出しながら、それぞれが努力して学習しています。また過去の通信課程卒業生にも優秀な卒業論文を仕上げた学生が多数おりますし、大学院に進学された方もおります。入学を検討中の皆さんも、ぜひ本学の門を叩かれることを期待しております」
※佐藤教授も、学生時代にこの大会で論文発表を行なっています

 

今後も、在学生・卒業生の皆様の学術活動についてもご紹介してまいりますので、ぜひ情報をお寄せください。

 

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