文学部 史学科
学びを何倍も深く楽しく変える「教員アドバイス」

私たちは自ら考えるために、歴史を学ぶのです
文学部 史学科 日本近世史専攻
松本 剣志郎 専任講師
私は日本近世史を専門としています。研究には公刊されている史料も使いますが、いまだ活字化されていない古文書を用いることのほうが断然多いと言えるでしょう。まだ誰も読んだことのない古文書が、日本には数多く存在しています。もちろん、古文書を研究に利用するためには、くずし字を読む能力が必要です。
私が担当している歴史資料学の授業では、くずし字を読むための基礎的訓練をおこなっています。専門の辞書を用いて、古文書を一字一字解読していく手間のかかる作業は、いっぽうで未知の事実に近づいていくために必須の時間でもあります。このことは西洋史や東洋史、あるいは考古学においても通ずるものと言えます。ラテン語を読もうと、土器片を観ようと、そこにかつて確かに生きた生身の人間を見出すならば、あなたは歴史学の入り口に間違いなく立ったと言えるでしょう。
大学で学ぶ歴史学とは、決して暗記するものではなく、思考を求めるものだと言えます。明らかとなった歴史的事実は、人間と社会の何をあらわしているのか。答えはひとつではありませんし、容易に見つかるものでもありません。ここに己の知識と経験を総動員して「考える」ということが要請されるのです。
いざ、歴史学の世界へ。