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法政大学「FD学生の声コンクール」 通信教育部在学生受賞作品をご紹介します (2)2014年度優秀賞受賞 文学部日本文学科 長澤 真利子さん

法政大学では、教育の質を向上するための組織的な取り組みであるFD(Faculty Development)活動を全学で実施しています。この活動に学生の声を活かすため、「FD学生の声コンクール」として授業・学習に関する内容をテーマに学生からのエッセイを募集し、毎回数十を超える応募の中から優秀作品を表彰しています。FD2014

通信教育部在学生からも授業や学習・学生生活での気づき、体験談を綴った内容の応募があり、2013年度は2点、2014年度は4点の作品が佳作以上に選出されました。

これから通信教育部での学習を検討中の方、在学中の方ともに、学習のヒントになる内容が沢山込められたエッセイの数々を、シリーズでご紹介していきます。

第二弾は、2014年度優秀賞を受賞した、文学部日本文学科 長澤真利子さんの作品です。

※2014年度受賞作品は、3月上旬にFDセンターより冊子が刊行されます。【FD推進センターWebサイト

 


 

散文『闘病生活を乗り越えて掴んだ学びの楽しさ』

          文学部日本文学科  長澤 真利子

 

私が法政大学通信教育部に通い始めて2年が経過したとき、母校の通信制高校に足を運び、法政大学通信教育部(以下、法政通教)での学びの楽しさについて、後輩たちに説明をしてきた。しかし、その頃の私は、法政通教にもあまり馴染めていなかった。後輩たちに、学びの楽しさについて、うまく伝えることができたのだろうか、と今でも自分自身に問いかけることがある。

私は14歳の時に体調を崩し、闘病生活に臨んでいたため、10代の頃は学校に通うことができなかった。そして、病気を乗り越え、21歳の時に通信制高校に入学。3年間で卒業し、24歳の時に法政通教に入学した。入学した当初は、10代の時に勉強ができなかったからこそ、勉強を精一杯楽しみたいという思いが、心の中に溢れていた。

しかし、入学して間もなく、私は大きな壁にぶつかった。法政通教の学生さんは、私よりも年上の方々が多く、見識があった。この環境の中で、本当に私は勉強についていけるのだろうか。追い討ちをかけるように、初めて提出したレポートは、再提出評価で返却された。入学して最初の2年間は、レポートやスクーリングに取り組みつつも、プレッシャーがあまりにも大きすぎて、学校に足を運ぶだけで精一杯だった。

それでも私の心の奥底には、学校生活を楽しみたい思いが溢れていた。レポートは再提出やC評価、B評価ばかり。すがりつく思いで、レポートにも取り組んでいた。

そして、2年目が経過した春休みのこと。学校生活が楽しくなる兆しが、ようやく見えてきた。私は春休みに、日本文芸学概論のレポートに取り組んだ。初めての専門科目のレポート。恥ずかしながら、日本文学のレポートの書き方の形式さえ、理解していなかった。それでも粘り続け、学びの楽しさを実感したい。私は参考文献を7冊使い、自分のできる限りの力を振り絞って、レポートを提出した。

1ヶ月後、レポートが返却された。結果はB評価だった。しかし、嬉しいことに、添削担当の先生が、A4版用紙1枚いっぱいに、私のレポートの今後の課題や、私の苦手としている部分を、丁寧に指摘して下さった。こんなにも丁寧に添削をして下さる先生の存在に、心から感謝したと同時に、自分の課題を克服すれば、もっと学びの楽しさが実感できるかもしれない、と思えた。さらに、添削の末尾には、先生からの、「頑張ってください」という応援の言葉があった。そうだ、頑張ればもっと学びは楽しくなる。そう自分に言い聞かせることができた。

3年目からは、学校生活にも少しずつ慣れていき、スクーリングもたくさん受講した。向学心のある皆さんから刺激を受けながら、自分の学習意欲を高めていく。放課後には、図書館通いもするようになった。20時に講義が終わり、図書館の閉館の22時まで。レポートやスクーリングの復習に取り組む。10代の頃に勉強ができなかった悔しさも、少しずつ忘れていくことができた。

しかし、レポートの上手な書き方は、3年目が経過しても、なかなか掴めなかった。レポートでいつかA評価を取りたい。葛藤と戦いながら勉強していくうちに、ついに哲学のレポートで、A評価に辿り着くことができた。

哲学のレポートの課題は、「テキストの関心をもった部分を要約する。要約を踏まえて、自分自身の問題意識と関わらせながら、自由に論じていく」というもの。私は、自分自身の闘病生活を踏まえて、どうお医者さんが治療をしたら、自分の病気はよくなるのだろうか、という問題について論じ、提出した。自分の過去の辛かったことや、苦しかったことも踏まえて論述したため、レポートが返却されるまで、どんなコメントが返ってくるのだろうか、と不安だった。

1ヶ月後に、レポートが返却された。夢にも思わなかったA評価の判定。喜びと感動で心の中が満たされていった。先生からは、「論証に際して、自分の闘病生活をテーマにするという、これほどぴったりの具体例はありませんね」とのコメントを頂いた。先生に、私の辛かった過去や、今に至る経過を、受け止めてもらえたことが、何よりも嬉しかった。

そして、今年で学校生活は4年目に突入した。母校の通信制高校を訪ねたときの、2年前の私と、今の私は比べものにならない。今の私は、何10倍ものびのびとスクーリングを受講できている。そして、何10倍ものびのびとレポートを楽しんでいる。闘病生活から、ここまでの長い道のりを、諦めないでよかったと思うと同時に、感謝の気持ちを皆に伝えたい。

今、母校に私が訪れるとしたら、学びの楽しさをどのように伝えようか。今度は私自身が、不登校を経験した後輩たちの支えになって、「学びの楽しさ」を伝えていきたい。

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